ホンダが昨年4月に発売した5代目のステップワゴンが、思わぬ苦戦を強いられているようです。ステップワゴンと言えばミニバンの代表的存在ですが、ここにきてその牙城が崩れつつあります。
日本自動車販売協会連合会が発表した2015年の新車乗用車販売台数の下半期(7~12月)ランキングがこちら。
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- 「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」の3兄弟 9万7540台
- 「セレナ」2万6921台
- 「ステップワゴン」 2万9504台←
ライバルであるヴォクシー、ノア、エスクァイアには大きく離され、2010年登場に古いモデルであるセレナと小競り合いをしているような状態です。
ステップワゴンがママに不人気な理由
ステップワゴンの歴史
ステップワゴンは1997年から3年連続でミニバン新車販売台数第1位でしたが、その要因はこれまでにない画期的な構造にありました。
初代の登場は1996年で、横置きエンジンで前輪駆動、背が高く床の低い箱型キャビンというスタイルは現在の売れ筋ミニバンの雛形。それまでの日本のワゴン車は、エンジンが座席の下にあり後輪駆動の「キャブオーバー」と呼ばれるタイプが主流だったため、ステップワゴンはユニークな存在として注目を集めたわけです。
しかし、2016年現在。苦戦を強いられている。それはなぜかと言えばママに人気がないからです。
なぜママに人気がないのか。
スタイルとか、エンジンのスペックとか関係ない
今、ファミリーカーの購入において財布の紐を握っているのはママです。どこの家庭もそうですよね?
ステップワゴンは、欧州で主流のダウンサイジングターボを国内でいち早く搭載したりと何かと画期的なことをしており、男心を擽ります。ミニバンだけど走りはしっかりしているぜ、というホンダの矜持を感じる。
ですが、一家の財務大臣にとっては、ぶっちゃけあまり関係ないことです。
まず一番大事なのは燃費。最近は特にそう。
続いて室内の広さとかシートアレンジ、自動スライドドアなどの装備の使い勝手、内外装の綺麗さが評価対象になります。
安全装置や運転のしやすさも大事ですよね。
ハンドリングのキレが良いとか、エンジンのパワーがあるとか無視です。後回し。山奥の過疎地域ならまだしも、街中を乗る分にはそれほど馬力も操縦性も必要ありません。どこまでいっても燃費重視。
この争いにステップワゴンは遅れをとってしまっているんです。
ライバル車との燃費比較
- 「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」 23.8km/l
- 「セレナ」 16km/l
- 「ステップワゴン」 17km/l
※JC08モード
ステップワゴンはセレナよりも燃費は上ですが、5年も違うのにこれではちょっと・・・
でも、どうしてもステップワゴンが欲しい、という方はなんとかセールスポイントを魅力的にプレゼンしなければいけません。
ステップワゴンが頑張っているところ
わくわくゲート
ステップワゴンのウリのひとつであるわくわくゲート。
普通のミニバンって後ろのドアを縦に開けますよね?これがドアの半分が横にも開けるようになっている仕様がわくわくゲートです。
後ろのスペースが狭くて、車を前に出さなければドアを開けられない状況で活躍しますね。スーパーの駐車場とか。
サッと開けて、買い物袋をスッと入れる。実にスマートです。
荷物だけじゃなくて、人にも優しい。後ろから車に乗って3列目の座席に座る。なんてこともで出来ます。
2列目の座席の足元が広く、座ってゆったりなだけじゃなくて荷物が置けるので色んな使い方もできます。旅行の時にスーツケース、部活のときの荷物を置くスペース確保とか。
でも、燃費に持っていかれる
結局、使い勝手が良いのは他のミニバンも同じ。最後は燃費の良さで争われて脱落する感じでしょうか。
ホンダはフィットがありますから、自慢のハイブリッド仕様を出して逆転を狙って欲しいですね。
査定に不利なのか
近い将来、仮にステップワゴンにハイブリッドが採用されると現行モデルは中古車市場ではかなり不利になってくるはず。
これから先も燃費重視のユーザーが増え続けるのは火を見るよりも明らかです。いくら安くても車は高い買い物ですから、何かしら推奨材料がないとライバルに対して差別化が出来ません。横並びのミニバンの戦いでは燃費の悪さは致命傷。
今の5代目ステップワゴンが中古で格安になるのを待っている間に、ハイブリッドミニバンがどんどん市場に投下されてしまうでしょう。
ですからターボエンジンやわくわくゲートが魅力でも、数年先の下取りや買取を考えるとちょっとおすすめしづらいと言えます。
子どもと組んでママを説得
ただ、考えようによっては燃費さえ気にしなければ、別にマイナスなところは特にありません。むしろ魅力的。
2016年7月にはライバルのセレナがモデルチェンジを控えています。安く買うには良い材料になりますね。
ママを説得するには「わくわくゲート」を持ちだして子どもを味方につけるのが一番だと思います。